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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)630号 決定 1953年12月24日

本籍

朝鮮慶尚南道南海郡南海面北辺洞二一八番地

住居

下関市西大坪町東向山八六番地 具泰薫方

無職

金賛圭

大正三年五月一二日生

右に対する外国人登録令違反被告事件について、昭和二四年一二月二七日熊本地方裁判所の言渡した判決に対し被告人から跳躍上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件跳躍上告を棄却する。

理由

弁護人和気寿の上告趣意について。

本件はいわゆる跳躍上告事件であるが、検察官でない者が、地方裁判所のした第一審判決に対して控訴審を飛び越え最高裁判所に上告をするには、その第一審の判決において法律等が憲法に違反するものとした判断が不当であることを理由とするときに限り許されるものであつて、本件のごとくかかる判断を含まない第一審判決の違憲を理由として跳躍上告をすることは許されないことは、刑訴四〇六条、刑訴規則二五四条によつて明白である。(新刑訴法においては、旧刑訴四一六条、四一七条、四三六条において認められていた広い跳躍上告は、認められないことになつている)しかるに、本件跳躍上告は、右の場合に当らないことは記録上明らかである。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔)

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